マスク不足と新型コロナウイルス

環境微生物を仕事として10年以上になります、その間インフルエンザや上気道感染などを見て来て思う事を書いてみます。

ブログでは「マラソンなどスポーツ、競技、トレーニングで風邪(上気道感染症)をひく理由と予防方法」(2016)が今でもアクセスが多く細菌やウイルスから身を守るための方法や免疫には関心が高いと感じます。

 

<マスクとウイルス感染>

報道で新型コロナウイルスに感染しない対策として「マスク」が取り上げられ店頭からマスクが売切れ無くなる事態が頻発していますが、マスクは保菌者が感染を広げないためには有効と思われますが、感染予防としては効果が少ないと思っています、「Use of surgical face masks to reduce the incidence of the common cold among health care workers in Japan: a randomized controlled trial.」(PMID:19216002)の研究でも効果は否定的です。

 

<感染予防の方法を考える>

新型コロナウイルスの感染経路は飛沫感染と接触感染と言われていますので、感染する主な場所は口腔粘膜と思われます。つまりウイルスから守るべきは①口から喉粘膜、②鼻から内部の粘膜、③目からの粘膜への感染を防ぐ事がポイントです。

 

口、鼻、目は感染しやすい場所でもありますが、感染を防ぐ構造がいくつもあります。粘膜には粘液(涙、鼻水、唾液など)があり分泌している液体にはIGAなどの殺菌物質が濃度を調整されながら出ており、付着してもウイルスは殺菌され簡単には繁殖出来ません。

・粘膜の殺菌成分を強化する方法

粘液の殺菌成分は人がどれだけ危険な状態に居るかを皮膚や粘膜などの細胞レセプター(トル様受容体TLR)などで検知して白血球を活発にしながら全身の免疫をアップする仕組みがあります。つまり周囲に菌やウイルスが多く有ると危険を察知し免疫をアップさせるという訳です。逆に無菌室のような清潔な環境で過ごしていると白血球は不活性となり免疫を低下させてしまいます。生活環境でも微生物の多様性は重要という事です。

 

かといって雑菌環境で過ごすのはリスクが有り難しいので、白血球が最も効率良く活性化するLPS(リポポリサッカライド)のサプリを利用するのが良いと思います、LPSは粘液の殺菌に有効なIGAを強化する事も解っています。PLOS ONE DOI:10.1371/journal.pone.0126849 May 15,2015 Masahiro Fukasawa et al.

 

・免疫をアップする以外の対策

口呼吸を出来るだけ行わず、鼻呼吸にするのは良いと思います。

鼻呼吸は外部からウイルスの侵入を防ぐ機構があり①鼻毛がフィルターとなりウイルスを捕えます②鼻の粘液は1日に約1リットル出ると言われ吸い込んだ空気を加湿して肺に送り込みます③鼻の粘膜に付こうとするウイルスを粘液で洗い流し胃酸で殺菌します。

花粉症で鼻呼吸が出来なかったり、運動などで口からも酸素を取り入れる必要がある時は唾液による殺菌効果を利用したいところですが、唾液量が追い付かない事も多いので、唾液の代わりに水などの飲み物を少しづつ口に含み唾液の代わりにすることで補います。飲み物にLPSを溶かしておくと唾液の殺菌成分も増やす事が出来ます。

 

手は接触によるウイルスが付着しやすく、手洗いが有効ですが手にウイルスが付着していても顔(口、鼻、目)に触れなければ感染確率を減らす事が出来ます。「Face touching: a frequent habit that has implications for hand hygiene.」(PMID: 25637115)

 

人は本来自身を守るために様々な防御機能を備えていて、新型コロナウイルスのような新たに出現したウイルスに対しても有効な自然免疫や殺菌方法で防御しています、これらを効率良く利用できるように気を付ける事で、マスクだけに頼る不安な状況よりも安心して生活を送れると思います、活用してみては如何でしょうか。

 

※記載内容は出来るだけ学術的な論文などの裏付けを元に考えを纏めていますが、あくまで個人的な見解を記載しているとお考えください。

 

追記:2020年2月 LPSでのコロナウイルスの可能性が公開されました(出典元:自然免疫制御技術研究組合)。→PDFファイル